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裁量労働制を違法適用していた建築設計事務所・プランテック総合計画事務所と団体交渉中です!

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09 /12 2018
 ブラック企業ユニオン/裁量労働制ユニオン(総合サポートユニオン)では、建築設計事務所・プランテック総合計画事務所(以下、プランテック)と団体交渉をしています。同社に勤務するAさん(20代女性)が、長時間労働の改善と残業代の支払いなどを求めて団体交渉中です。

●1日8時間のみなし労働時間なのに、20時間以上の労働が頻繁に

 同社では、1日8時間をみなし労働時間とする専門業務型裁量労働制を、「建築士の業務」に従事する従業員に「適用」していました。同社で建築設計業務を行なっていたAさんもその一人です。
 裁量労働制は、労働の仕方について裁量がある労働者にのみ適用されることになっており、出勤時間にも裁量があるはずです。ところが、Aさんは月100〜150時間程度の残業が頻繁にあり、深夜3〜4時まで職場に残って仕事をしたり、朝9時ごろまで徹夜して帰宅し、そのまま昼にまた出勤したりすることも珍しくありませんでした。同社の1日のみなし時間は8時間を大幅に超え、1日20時間以上働くことも多々ありました。
 Aさんは過酷な長時間労働に追い込まれた結果、精神疾患に罹患しています。そんな折、Aさんはユニオンの存在を知り、団体交渉を決意しました。

●裁量労働制を無効にさせ、勤務記録どおりの賃金支払いを認めさせました!

 ユニオンでは7月に団体交渉を申し入れ、すでに2回の団体交渉が行われています。これまでの団体交渉で、ユニオンはプランテックにいくつかのことを認めさせています
 まず、裁量労働制が無効であるとして、これまで裁量労働制を適用されていた同社の全従業員に対して、1日8時間のみなし労働時間を超える残業代の支払いを認めさせることができました。
 次に、この残業代の算出方法ですが、Aさんについて、勤務記録に記載された出勤時間から退勤時間のうち、休憩時間を除いた時間の全てを労働時間として認めさせています。
 例をあげると、Aさんは今年4月のある日について、朝10時半から28時半(翌朝4時半)まで勤務しています。この日の休憩は1時間だったため、17時間分労働していたことが認められ、8時間の就業時間の賃金とは別に、9時間分の残業代が追加で認められたことになります。
 一般的に、裁量労働制が無効になった場合に、会社側が勤務記録の時間を「労働時間ではなく在社時間」などと開き直り、「労働していない時間もあるはずだ」「裁量労働制のはずだったのだから、自由に休んでいた時間もあるはずだ」などと強弁することがあります。この点について、プランテックが全て労働時間として認めたことには大きな意義があります。
 さらにユニオンでは、時効のある2年間分の支払いを認めるように追及しています(もちろん、2年間の支払いを認めず、数ヶ月分で値切るようなことがあれば労働基準法違反となりますので、当然のことなのですが)。

●プランテックの従業員・退職者の皆さんへ

 さて、今後数週間の間、プランテックの従業員の皆さんに注意してほしいことがあります。プランテックはこれから、裁量労働制が適用されていた他の従業員の方々に対しても、過去の裁量労働制を無効として、支払われるべきだった残業代について調査を実施するとしています。会社側の発言に従えば、調査期間は1ヶ月程度が予想されます。
 ただし、残念なことに、あくまでも一般的なケースですが、こうした全社的な残業代支払いの際に、会社側が本人の意思を尊重しない調査や面談を行い、残業代を大幅に短めに支払うことに、無理やり同意させてくることが多々あります。
 具体的には、「そんなに長くは働いていなかったはずだ」などとして、勤務記録の時間通りの労働時間を認めず、1日あたり数時間分を差し引くことに応じるよう迫ってくる可能性があります。
 同様に、時効期間の2年間分ではなく、2、3ヶ月から半年間程度だけの支払いで妥協するように強制してくる可能性も高いです。
 また、一般的には、債権放棄の同意書を結ばせるなどして、後から追加で残業代請求を断念するように約束させてくる企業もあります。
 こうした状況に陥る前に、ぜひユニオンへの相談をお勧めします。前述のとおり、ユニオンの団体交渉ではすでに、Aさんに対して、勤務記録どおりの労働時間を認めさせており、2年間分の残業代支払いを求めています。また、現職の従業員だけでなく、退職者であっても、過去2年間分の残業代請求は可能です。ぜひ相談してみてください。
 加えて、ユニオンでは、裁量労働制の悪用に対する歯止めや、長時間労働に対する改善策などを同社に求めていきます。
 一緒に、会社に対して支払われるべき残業代全ての請求をし、長時間労働を是正することで、プランテックを働きやすい企業にしていきましょう。

●Aさんからのコメント
 最後に、今回立ち上がったAさんからのコメントを紹介します。

 会社に対して疑問を抱き、不満をお持ちの方はぜひ一度相談してください。
 私は家族や友人に、会社の実情を中々相談することができませんでした。それは自分が通常ではあり得ないような労働時間で働き、またその対価を支払われないことがあまりに恥ずかしかったからです。内部の人々にはこれが当たり前だと言われ続けたため、騙し騙し働いて来た結果、自分はまだ大丈夫と思って行った病院でその日に即入院を勧められました。
 従業員の方で、昔よりマシになったから、昇給率は他の会社よりいいから、建築設計事務所はどこも一緒、会社の人との仲を壊したくないからと騙し騙し働いている方はいませんか?
 マシになったとしても、会社が裁量労働制を悪用し、払うべき対価を支払っていないのは事実です。
 昇給率は他の会社よりいいからといって、もらうべき残業代を換算せず目をつむっていませんか?
 本当にどこの会社も同じでしょうか?自分より悪条件で働く同業者を見て心を落ち着けていませんか?主張して当然の権利を主張し、それで壊れるような仲に固執すべきでしょうか?
 会社は、労基署の調査で裁量権に関わる調査について作業内容を一部しか明かさず、ごまかすような対応をとっています。
 毎回、やり取りの度に「真摯に対応します」と会社側は文章で書いていらっしゃいますが、上記のような誤魔化しをしている限り、真摯とは到底言えませんし、会社の改善は期待できません。
 会社に対して疑問を抱えて働き続けることは遅かれ早かれどこかに無理が生じます。
 少しでも多くの人がこれを読み自分の会社を見つめ直す機会が持てることを祈っております。

長時間労働、休憩未取得等の改善に向けて、ヤマト運輸と団体交渉しています!

活動報告
08 /03 2018
ヤマト交渉画像

私たちは、昨年から、ヤマト運輸と労働環境改善に向けた団体交渉を行っています!

◆最近の状況と報復人事

ヤマト運輸は、昨年、「働き方改革」を掲げ、労働環境改善に取り組んでいましたが、現在でも、未だに社内では、長時間労働や1時間の休憩が取れないというような実態があります。

それについては、私たちは継続して改善をするよう団体交渉で求めつつ、労働基準監督署へ改めて通報をするなど、行動を続けています。

しかし、その過程で、この度、昨年の夏から団体交渉を継続してきました組合員に対し、会社は、最低ランクの報復的人事評価をしてきました。

それについて、なぜそのような評価にしたのかを、今週の団体交渉で、会社人事担当者や直属の上司に問いただしましたが、回答は二転三転しその評価基準も明確に答えられませんでした。

例えば、最初に上司は、「1ルートしか回れていないから」ということを評価理由に挙げていましたが、実際には、評価期間においては、Aさんは2ルートを回っており、事実が異なるということを指摘するとしどろもどろになるといったやり取りがありました。

人事評価によって、賃金も下がるなど、Aさんは不利益を受けますが、会社はその評価の根拠も答えられないという、ずさんな対応をしており、そのような対応について、私たちは許すことができません。

私たちは、今後も、継続して、違法状況の改善や、報復行為の撤回等を求めて戦っていきます!

◆組合員の想い
①組合員Aさん
 
私はヤマト運輸に勤めて21年になります。ここ数年の異常な勤務で退職を考えていました。しかし年齢的に転職は難しく諦めかけていたのですが、ユニオンの方と話して「会社と改善に向けた交渉をする権利が労働者にはある」と知りました。

絶対服従のヤマト運輸と交渉なんて、最初は不安しかありませんでした。しかし、これまで、堂々と団体交渉を進めることにより、団体交渉の前後では、私個人の労働環境は驚くほど改善されました。

ただし、私の目標は、あくまで、ヤマト運輸にすっかり定着した「ブラック企業」のイメージを完全に払拭することです。実際まだまだ社員軽視の企業風土は根深いものがあり、特に、法律や社会倫理よりも自分の保身に走る管理者が溢れているという事実を団体交渉を通して会社に認識してもらい、改めてもらいたいです。そうしてやっと、ブラック企業のイメージを払拭することが出来ると思うのです。

 私一人では、一瞬で会社に捻り潰されて終わりですが、ユニオンの心強い仲間達がついていますので、何の不安もなく、会社と交渉を繰り返し、少しずつでも会社を変えていけると思います。

ぜひ、ヤマト運輸、そして物流業界で労働問題を抱えている方は、ブラック企業ユニオンまでご相談ください!一緒に労働環境改善に取り組みましょう!

②組合員B

 今回は4度目の団体交渉でしたが、あいも変わらずヤマト運輸はユニオンの質問事項に書面回答をしない、話をはぐらかす、知らない、答える必要はない、などと不誠実な対応を続けています。ヤマト運輸ほどの大企業が労基法違反やコンプライアンスに反する問題を認識しながら、このような対応を取り続けるとは1カスタマーとしても悲しいですし、なにより許せません。
 
 交渉している在職組合員はただ「誇りをもってお客様に向かい合いたい、今までみんなで育ててきたヤマト運輸というブランドを守りたい、そして長時間労働や嫌がらせのない職場でプライドを持って仕事をしたい」と心から求めています。だからこそ、勇気を持って立ち上がり、ヤマト運輸の抱える様々な問題を会社とユニオンに入って仲間と共に闘い、ヤマト運輸にもその自分の思いを理解させ会社を改善しみんなが働きやすい会社に変えようと闘っています。

もしこれを見ているヤマト運輸の幹部の方がいたら私は、「あなたは恥ずかしくないですか?こんな状態であなたの仕事に誇りを持てますか?」と問いたいです。

私たちは仲間の痛みを自分の痛みとして感じ、共に怒り、これからもユニオンの仲間みんなで闘っていきます。また、一人でもおおくのヤマト運輸で苦しい、辛い、悲しい思いをされている方が私たちと共に立ち上がればさらに大きな改善ができます。そのような方がおられたら、無料労働相談電話に気軽に電話してください。話すだけでも楽になることもあります。みなさまのご理解とご支援を組合員として心よりお願い申し上げます。

エピソード2 「行方不明の労働者」 ~元テレビ番組制作会社ADの未払い残業代請求ストーリー~

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08 /03 2018
 2017年10月に株式会社A社を退職した翌日から、心身ともに疲弊していた僕は、最近話題の「ミッシング・ワーカー」になりました。「ミッシング・ワーカー」とは、求職活動をしていない為、ハローワークなどの公的機関が把握できていない失業者のことで、労働市場から行方不明の人を指します。日本語訳は、「行方不明の労働者」。

 「うん、、、なんか、かっこいい。」それが、僕がこの言葉を初めて聞いた時の感想でした。ニートより罪悪感がないし、響きもかっこいいので、失業中、僕はこの言葉に何度も救われました。間違いなく、僕の中の2018年流行語大賞です。

 こうして、会社を退職した翌日から「ミッシング・ワーカー」になった僕ですが、実はそれだけにとどまらず、ガチの行方不明になりました。AD時代、メールや電話に、いつでも対応できるように、常にスマホを握りしめていた僕は、スマホのバイブ音が怖くなっていました。バイブ音が鳴る度に、僕の心臓はそれ以上に震えていました。その結果、退職後、スマホの電源を切り、SIMカードを抜いて、ベッドの下に放り投げ、生活をしていました。視界にスマホが入ってこない。いつになってもスマホからバイブ音がしない。スマホから自由を勝ち取った僕は、好きな時に起き、好きな時に食べ、好きな時にネットをし、好きな時に寝る、そんな健康で文化的な最低限度の生活をしていました。しかし、今の日本では、それは行方不明になることを意味していました。

 あの日のことは、一生忘れないでしょう。そう、スマホを再び手に取った日です。実は、スマホから距離を置いて、1か月たった頃、僕の方からスマホのことが気になりはじめていました。あんなに嫌いだったのに。あんなに僕の心臓を震えさせていたのに。何故かそこには、あのバイブ音をもう一度聞きたい僕がいました。しかし、もうスマホに支配されたくない僕は、そこから意識してスマホと距離を置くことにしました。2017年の年末頃にはもう、嫌々、スマホの無い生活をしていました。そして、2017年12月31日大晦日、年越しのカウントダウンと同時に、僕は再びスマホを手に取ったのです。

 電源を入れてみると、大量のラインのメッセージが送られてきました。主に、前の会社で一番仲の良かった同期のAD2人からです。しかも、その内容が、「沖縄に行こう!休みとるから!お~い。香川~?」というもの。実は僕、その2人に、「会社辞めたら沖縄に行きたい!」「南国でゆっくりしたい」とずっと言っていました。その希望を叶える為に、僕が会社を辞めた翌日、メッセージを送ってきてくれていたのです。しかも、上司に言って、今年まだ取れていなかった夏休みを申請していました。結局、僕からの連絡が無かった為、沖縄旅行は無くなり、ラインの最後のメッセージは、「死んでたら悲しいからその前には連絡欲しい。」という言葉で終わっていました。

 この時の僕の心臓は、AD時代の比じゃないくらいに、震えていました。「どうしよう、、、やっちまった。」こんな言葉じゃとても表現できないくらいに、僕は、激しい後悔の念に押しつぶされそうになりました。同期のADの優しさに感動を覚えたと同時に、その優しさを裏切ってしまった自分自信に対して、大変失望し、自分の犯したこの過ちから逃げるように、無意識のうちに、スマホの電源を切り、ベッドの下に放り投げていました。当時の僕には、自分の犯した過ちを受け入れるだけの度胸はなく、その過ちから逃げる為に、再び、スマホを手放したのです。

 「そうだ、見なかったことにしておこう。スマホなんて、もともと持っていなかった。そう!持っていなかった。なんなら、制作会社になんて就職していなかったんだ。同期のADとも出会っていなかった。そうだ、僕は大学を卒業して、ずっと夢を見ていたんだ!そうしよう!そうしよう!そうしよう、、、、。」こう心の中で繰り返した言葉は、自分の過ちを受け入れきれず、その責任から逃げる為に、再び、同期のADの優しさを踏みにじるものでした。しかし、何十回、何百回とこの言葉を繰り返しても、制作会社で働いていた時の記憶は消えるわけもなく、同期のAD2人に対する罪悪感が膨れ上がる毎日でした。

 そして、その後は、スマホの電源入れ、次、同期のADから連絡が来たら返信しようとか、メッセージを書いても送信ボタンを押せずに、削除するというのを何度も繰り返す不毛な日々を過ごしていました。

 そうして、あっと言う間に、退職してから半年程経ったある日、親から、東京観光に行くからとの連絡がきました。そして、親が東京に来た日、約半年ぶりに人と会話をしました。レストランでの食事中、僕は元気な息子を演じていましたが、もう限界だと悟り、会社を辞めたこと、そして、半年間「ミッシング・ワーカー」をやっていたことを正直に話しました。すると、親は、「・・・そっか、いいんじゃない。なんとなく分かってた。」と、半年間黙っていたことを責めるわけでもなく、退職理由を聞くわけでもなく、優しく僕の決断を受け入れくれました。そして、社会復帰への一歩として、まずは、ハローワークに行くことを勧めてくれました。不思議なことに、この半年間、どんなにYoutubeで元気のでる洋楽集を聴こうが、スティーブ・ジョブズの演説を聴こうが、Netflixで「ショーシャンクの空に」を見ようが、社会に出ることが出来なかった僕が、たった一言「ハローワークに行こっか」と親が言ってくれただけで、社会復帰への一歩を踏みだすことができました。親の存在とその言葉の温かさに、大きく背中を押され、2018年4月、人生で初めてハローワークに行きました。こうして僕は、無事、「ミッシング・ワーカー」を卒業することができたのです。

~次回 「無職、ユニオンに出会う」~

【7月27日、28日】 自販機ベンダー業界で働く人のための労働相談ホットラインを開催します。

お知らせ
07 /20 2018
 7月27日と28日に、「自販機ベンダー業界で働く人のための労働相談ホットライン」を開催します。

 現在、団体交渉中のサントリーグループ自動販売機オペレーター大手のジャパンビバレッジが注目を集めています。
 同社は、事業場外みなし労働時間制を悪用した違法な長時間残業をさせていたとして、労働基準監督署より違法な長時間残業(労働基準法32条違反)と残業代未払い(労働基準法37条違反)に対する是正勧告を受けました。

 そして、本件がメディアによって報道されると、他の自動販売機オペレーターで働く労働者から相談が続々と寄せられてきました。
 「残業代が払われない!」「タイムカードを切ってから残業させられる!」「休憩が全く取れない!」など違法労働が業界全体に蔓延している実態が明らかになりつつあります。

 そこで、ブラック企業ユニオンは、自動販売機オペレーターで働く人を対象に、「自販機ベンダー業界で働く人のための労働相談ホットライン」を開催することになりました。
 ぜひ、お気軽にご相談ください。

日時:7月27日(金)18時~22時、7月28日(土)13時~17時
電話番号:0120-333-774
主催:ブラック企業ユニオン
※通話・相談は無料。秘密厳守。

 ホットラインでは、残業代の請求の仕方や違法な労働環境の改善の仕方など、働き方を変えていくための具体的な方法をアドバイスします。この機会にぜひご相談ください!

 なお、通常の労働相談窓口は、以下の通りです。ぜひご連絡ください!
電話番号:03-6804-7650
電話受付:平日17時~21時(水曜は休み)/土日祝13時~17時 
メール:soudan@bku.jp

~元テレビ番組制作会社ADの未払い残業代請求ストーリー~

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07 /18 2018
 皆さん、初めまして。
 この度、ブラック企業ユニオンの組合員になりました香川(仮名)と申します。
 この連載ブログ記事では、僕が労働組合に入ったきっかけから、最終的には未払い残業代を勝ち取るまでの物語を書いていきたいと思います。

 目的としては、労働組合って何?団体交渉を通した残業代請求ってどうやってするの?と疑問の方に、概念的なことではなく、今まさに活動をしている組合員として、リアルな言葉で、団体交渉での出来事や僕の心情を伝えたいと思っています。

 多くの就活生や労働問題にお悩みの方に読んで頂きたいのですが、特に、過酷な現場で働かれている制作会社のAD(アシスタント・ディレクター)さんに見て頂き、ADでも労働者としての主張をしても良いんだ!と希望を持ってもらい、少しでもこの業界の底辺であるADの労働環境改善に貢献できることを願っています。

エピソード1 
僕が夢見たテレビ番組制作会社


 僕は、小さい頃からテレビが好きで、10代後半になると特にドキュメンタリーや、海外ネタの番組を良く見ていました。大学卒業後は、自分もドキュメンタリーやテレビ番組を制作したいと思い、ドキュメンタリーを数多く制作しているA社に、ディレクターになるという夢を抱き2016年4月に入社しました。

 入社してからは、驚きの連続でした。まずは、初めての給料です。同期と一緒にプロデューサーから初任給の給与明細を貰った日のことを今でも覚えています。それは、基本給が14万円だったこと。実は、就職活動の際に見た求人募集では、基本給は23万円でした。

 えっ!?こんなに安いの!?と同期と顔を見合わせたあの日の事は一生忘れないでしょう。あの時、同期と一緒にプロデューサーに、安くないですか?と聞きに行けばよかったなと今でも思いますが、大学を出て、初めて働く僕には、20歳以上離れた上司に対して、お金の不満など何も言えませんでした。

 次に僕を待っていた驚きは、長時間労働です。この業界では、ロケ、スタジオ収録、編集所での作業は長時間に及びます。準備の為に、深夜労働、徹夜は当たり前。特に、苦しかったのが文字起こし。撮影から帰ってきて、次の日の朝にディレクターが編集するために、ADは深夜に会社に残って、インタビュー等の文字起こしをします。僕は、10時間ほど連続で文字起こしをしたことがありますが、単純作業を何時間もすることは、相当な苦痛でした。

 加えて、不幸なことに僕は英語が喋れる為、海外の取材先のアポ取りなどもしていました。本来であれば、海外専門のリサーチャーに外注する仕事ですが、僕の上司であるプロデューサーが節約の為、ADである僕に英語の仕事を振ってきました。その時は、日本の仕事もしていたため、朝の10時~夜22時までは日本の仕事で、夜22時から翌朝7時まではアメリカの仕事と言うように、会社に泊まり込みで働いていました。あの時ほど、英語を勉強したことを後悔したことはありません。

 ちなみに、休みは月に2、3回。2連休があろうものなら、心の中でよっしゃー!と叫ばずにはいられません。土日休みがこんなにも幸せなのかと、2日間ベッドの上で、何もしないで、ただ天井を見上げて、息をすることに、幸せを見出すことができたあの時の僕は、間違いなく、幸福度でフィンランド人に勝っていたでしょう。 

 この薄給に長時間労働という驚きが日常となりつつあったある日、僕はまた、新たな驚きに出会うことになります。それは、パワハラ、暴言、暴力です。

 僕は、平成生まれということもあり、リアル、親父にもぶたれたこと無いのに!世代です。

 そんな僕が出会ったのは、大人が大人を殴る、蹴る、首を絞める世界。大人が大人に暴行しているのも、されているのも初めて見ました。

 プロデューサーがディレクターやADを暴行し、ディレクターはADに対して暴行します。もちろん、ADはプロデューサーやディレクターに暴行しません。後輩の中には、ロケ先でディレクターに暴行され、頭から血を流したり、ディレクターに追い詰められ、会社のトイレでリストカットをしたりしたADもいました。

 僕がこの会社を辞めようと思ったきっかけも暴力でした。ADに人権はないのかと心の底から思いましたし、暴行を受けた際の、顔の痛さと悔しさで涙を流した日もありました。

 このような会社で働いていた僕は、心身共に疲弊し、2017年10月会社を退職しました。これが、僕が学生時代に夢見て入ったテレビ番組制作会社での思い出です。

~次回、「行方不明の労働者」~

ブラック企業ユニオン

ブラック企業ユニオンは、総合サポートユニオン(http://sougou-u.jp/)のブラック企業支部です。労働問題でお困りの方は、下記連絡先までお気軽にご相談ください!

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